一昨年、2022年の秋頃、私はYoutubeの切り抜きチャンネルを始めた。
当時はひろゆきや、岡田斗司夫氏などの配信を10分ほどの動画に切り抜く、「切り抜きチャンネル」がすでに有名になっていて、これからチャレンジするぞ、という人もかなりいたように思う。
私も興味があり、これがうまく行けば、自分で発信できるような十分な情報がなくても、彼らの言葉を借りてYoutuberとして稼ぐことができるかもしれない、と考え、自分でYoutubeチャンネルを解説し、挑戦してみたのだ。
実際には10本ちょっとしか投稿せずにやめてしまったが、これを通してかなりの教訓や経験が得られたので、ここにまとめてみようとおもう。
切り抜き動画体験談
対象選定
私は、失敗小僧氏の動画の切り抜きをすることに決めた。
↑失敗小僧様のチャンネル
理由はいくつかある。
まず、競走馬が少ないこと。
すでにホリエモンやひろゆきなどの有名どころの切り抜きは飽和状態にあり、同じ配信の同じ内容を切り抜いた動画が10以上も生産されている状況になっていたのだ。
これでは、すでに登録者を多く持つチャンネルの動画が先に見られてしまい、他はほとんど再生されない。
また、そのような上位の切り抜きは複数人で編集する体制がすでに整っており、サムネイル、テロップが凝っており、また動画を出すタイミングもほとんど1時間以内に投稿されているから、今から一人で私が参入してもクオリティでもスピードでも負けることが明白だった。
この点で、失敗小僧様の動画はまだ切り抜きチャンネル自体が少なく、私がポジションを獲得できる余地があった。
理由の2つ目は、失敗小僧様の動画の形式である。
基本的にニュースやネット記事を拾い、それに関して1時間近く話している動画を投稿されているが、時間が長いためゆっくりと見るには適している一方、素早く話の要点をひろうことが難しかった。
そこで、切り抜きをすることで、簡潔に動画の内容を知りたいという需要を満たすことができるのではと考えたのだ。
最後に、私は個人的に失敗小僧様にもっと伸びてほしかったのだ。
正しい間違っているにかかわらず、一般論やネット有名人の考えとは違う切り口で時事問題を切り、話の辻褄をあわせていくテクニックは純粋に面白いと思ったし、もっと評価されていいと思っていた。
切り抜き動画で新しい人に失敗小僧様を知っていただければ、元チャンネルの動画を視聴する人も増えるのではないかと考えた。
以上、私が失敗小僧様の切り抜きを始めた理由だ。
使用ツール
切り抜きを始めるにあたって、初期資金をかけないということを決めていた。
本当に続けられるのかもわからなかったので、まずはお試し期間だと割り切ってスタートするべきだと思ったからだ。
しかし、曲がりなりにも動画を作るということは、有料の編集ソフトやサムネイルを作る画像編集ソフトが必要だろうと思っていた。
だが、結論から言って、それらは必要なかった。
全て、無料のソフトで完結した。
動画取り込み
まず、はじめに切り抜き元の動画をダウンロードする必要がある。
そこで、Youtubeダウンローダーが必要になる。
私はこのfreemake.comでダウンロードしていたが、たまに一本ダウンロードするのに何時間もかかるのはストレスがかかった。
しかし、編集にはそれ以上の時間がかかる。
違う動画を編集しながら、かたわらでダウンロードをすれば問題はなかったので、そのまま使い続けた。
カット編集&字幕
次に、カット編集と字幕をつけてやらなければならない。
この時点では、Adobe Premiere Proのような高尚なソフトは必要なく、Vrewという無料ツールで足りた。
無料版は使用制限はあるものの、私が使用する限りでは問題にならなかった。
しかし、最近有料版を開始するにあたって、無料版では字幕作成が月120分に限られてしまったようなので、いまから切り抜き動画をまともに作ろうと思えば課金の必要があるだろう。
とにかく、これに動画を投げれば、勝手に無音部分は削られ、字幕もつけてくれる、スーパーツールだ。
カットの微調整もVrew上でできたので、ほとんどの時間をこいつと一緒に過ごした記憶がある。
無料版の使用制限が悔やまれるばかりだ。
凝った編集・動画の分割など
PCに最初から装備されているムービーメーカーなどでもいいが、とりあえずVrewでできないちょっとした編集をするのに、DaVinci Resolveを使用した。
DaVinci Resolveは無料版でもほぼ完璧に編集ができる万能ツールで、使いこなすには相当な勉強が必要だが、私は簡単な操作しかしなかったので非常に簡単に導入できた。
サムネイル作成
簡単なサムネイルなら、MicrosoftのPresentationでスピーディーに作成できる。
背景を決めて、そこに切り抜き元の人物の顔を切り抜いたものを貼り付け、重要な文字は黄色や赤色にし、危機感を煽る文句をつけてやればそれっぽいサムネイルができた。
思っていたより簡単だったので、サムネの作成時間は最終的には5分とかからずできるようになった。
切り抜き動画で予想外に辛かったこと
一番きつかったのは、YouTubeに張り付いて、延々と動画を見なければならないことだった。
まず、元動画を視聴し、編集しながら何度も同じ内容を聞き、最後のチェックするために動画を再生すると、さすがに飽きる。
飽きるというか、胸焼けがしてくる。
なんだが時間がもったいないような気がして、辛くなることが何度かあった。
切り抜き動画は効率的だと思ったが、実際は自分で考えて動画を取るのと時間的な負担はあまり変わらないのかもしれない。
一本動画を作るのに3時間位は平気でかかっていたから、1日一本投稿するのもかなりの苦行になってくる。
世の中、そううまい話はないのだな、と再実感した気分だった。
2つ目に、常に新しい動画が出ていないか気を張っていなければならないこと。
私はあまり競争相手がいなかったからこの点では恵まれていたが、仮にひろゆきのような有名どころは、半日経てば同じ内容の切り抜き動画で溢れてしまう。
少しでも早く視聴して、動画にしていかないと周りにおいてゆかれてしまうので、切り抜き動画の実態としてはかなり時間にシビアだということだ。
3つ目は、伸ばそうと思うと、人手があまりにも足りない、ということ。
似たような動画が並んでしまう切り抜き動画チャンネルが、他と差別化するには、YouTubeのサジェストAIに評価されるしかない。
当時、離脱率、という言葉が重要視されていた。
10分の動画を、多くの人が10分間見続けてくれることは少ない。
しかし、質の良い動画は、途中で離脱されることが少ない。途中で離脱されない動画がYouTubeで評価される。
よって、最後まで見られるような動画作りをしなければならなかった。
そのために、テロップなどを入れたり図をいれるなど、やりたいことが次々と増えてきて、ついに到底自分一人ではできない、と思うようになった。
また、再生数があるチャンネルを見てみると、概要欄やコメント欄にこまめにおすすめ動画や関連動画を並べていて、視聴者を逃さないような仕組みを作っていた。
まともに再生数を伸ばそうと思うと、作業量に体がついていかないだろうという結論に至った。
切り抜きをやめた理由
単純に学校生活が忙しくなったというのもあるが、到達点が見えてしまったのが一番の原因だった。
切り抜き動画で1年間頑張っても、チャンネル登録者1000人までにはかなりの時間がかかるし、一本10000再生の動画を作れたとしても報酬は1000円以下。
一本作るのに軽く5〜6時間はかかっているわけだから、素直にバイトしたほうがいい。
有名どころに切り抜き元を変更しても、すでに協力なライバルがおり、新規参入しても無駄。
そのライバル以上のクオリティを発揮するには人を雇うしかないが、収益化できるかどうかもわからないのにコストを増やすだけ赤字になってしまう。
なによりも動画を何度も見るのが苦痛になってしまったので、潔く引退した。
まとめ
収益という面でみると、収益化するまえにやめてしまったので無駄骨を折ることになってしまった。
しかし、YouTuberが何を考えて動画作りしているのか、どれだけ大変なのかは実際に自分でやってみて初めて気づくことも多い。
今回ブログを再開して、この記事を書いたことで挫折した当時のわたしも供養できただろう。
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